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2012-02-08

‘上品‘な鶏のスープ~1月「ゆったりお食事会」メニュウ

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なんかまた同じことやってしまってました…。
このスープの記事は先月末にアップした「つもり」だったのに下書き状態のまま保存されていたみたいです。
以下はそのとき書いたもの。


漢方の薬の分類の仕方のひとつに「上品・中品・下品」というランク付けがあります。
「んまあ、お下品!」というときの「ゲヒン」ではなくこの場合「ゲホン」(咳みたいですが)と読みます。
もひとつ別の言い方もあって「上薬・中薬・下薬」、こちらの方が判りやすいかもしれませんね。
上薬(上品)は命を養うための薬で、多めに長期服用しても無毒で人体に害を与えず、心身の健康を穏やかに強化し、老化予防に役立つものです。
どちらかというと食品に近く、健康を保つベースになるものですね。
逆に下薬(下品)というのは、ある種即効性はありますが、作用が強いだけに毒性も含むため、服用には充分な注意が必要で、積極的な病気の治療のみに用いられる薬です。
中薬(中品)はその間にあるものというか、体質や体調改善の為に服用するものですが、使い方を間違えると人体に害になることもあるので、注意を要する薬です。

現代では「すぐ効く!○○ひとつで効く!」ものが優れていると思われがちですが、効き方が早いということは(人体に対する)作用が強い、ということです。
その効果と表裏一体になっている有毒性も考えましょうと言うのが、2千年以上も前の薬学書にあったりするわけで。

で、骨付きの鶏からじっくりとったスープ。
丸鶏を使えばまさに「上品」の、毎日飲んだり料理のベースに使ったりして、健康なひとも何かしら体調に悩みのあるひとも共に楽しめる養生食です。

とは言え鶏一匹丸ごと煮込むのは家庭ではちょっと大変。
らんぷ店主がよく使うのは、手羽元です。
小人数分でも作りやすいですし、肉やナンコツの部分も具材として食べられます。
今回は、気を補う目的でオウギ、ビャクジュツ、サンヤクという生薬を入れて煮込み、仕上げにしめじを加えました。
きのこ類は、免疫力を高める働きがあるとされます。

生薬は、手に入らなければ入れなくても大丈夫。
欠かせないのは葱・にんにく・生姜の香味野菜トリオです。

深鍋に肉と千切りにした香味野菜をいれ、たっぷりの水を加えて火にかけます(生薬を入れるならこのとき一緒に。お茶パックに入れると後で取り出しやすいです)。
沸いてきたら弱火にしてしばらくコトコト煮ます。
肉が柔らかくなればシメジを加え、塩で調味して出来上がり。
あ、お茶パックに入れた生薬はこのとき引き上げちゃってください。
放っておくとスープに溶け出た成分が戻っちゃうと言われています。
ただし具として食べられるもの(今回で言うとサンヤク)はパックにいれずそのままで。

…と文章で書けばこれだけなんですが、煮る時間をどれだけかけるか。
これによってスープに溶け出す肉の成分が変わってきます。
肉を柔らかくするだけならあまり時間は要らないのですが、スープを重視したければあまり煮立てず、かつじっくり時間をかけると良いようです。
皆さんにお出しするときは当然アツアツのスープですが、実はお食事会当日の朝、前日まで煮込んで骨のゼラチン質が溶け出ていたスープは鍋の中ですっかり冷えて、蓋をとるとガチッと固まっていました。
ちょっと昔の、ゼラチン多めの固ーいゼリーみたいな感じです。
ここまですると、旨みたっぷりなだけでなくスープの持つ保温効果が高くなるようです。
ことわざで「アツモノに懲りてナマスを吹く」と言うのがありますよね。
アツモノは熱いスープ、ナマスは冷菜ですが、このアツモノ、漢字で書くと「羹」、つまり羊羹(ヨウカン)のカンと同じ字で、つまりは冷えれば煮こごりになるような動物のゼラチン質を豊富に含んだスープを指したのではないでしょうか(そりゃ火傷するわな)。
と、このへんは、あやふやな知識を元に組み立てたらんぷ店主の当て推量ですが。

この鶏のスープは、具や組み合わせる生薬は色々ですが、これまでに召し上がっていただいた方から異口同音に「体がポカポカしていつまでも続く」との声を頂戴します。
生姜やにんにくの効果、入れた生薬の効き目、それらも勿論あるのですが、じわじわっと鶏の骨から染み出た成分が一番のあっため効果を持っているのではないかと感じています。

なので、出来ればお時間に余裕のあるとき、または夕飯の用意をしながら「今日は間に合わないけど明日の夕食用に」と、とりあえず手羽と生姜と水を鍋に入れて火にかけるだけでもしてみてください。
蓋をしたまま一晩置いて、翌日また煮込む。
付きっ切りでなくても他のことしながらでも煮込めますし、出掛けるなら、鍋ごとバスタオルに包んでおくと、保温効果が持続します。

どうせ時間をかけるのですから、大きい鍋でたっぷり作って、何日かかけて召し上がってください。
具が減ってしまったら、葱や白菜、或いはキャベツなどを加えるのもらんぷ店主はよくやります。
元々が、鶏ダシと塩のシンプルな味付けですから。

最近「心が折れそう」という表現が若いひとの間でよく使われています。
実際に、折れそうな環境や出来事の多い昨今でもあります。
五臓の気を穏やかに補って「心」を折れにくくする、そんな料理を作りたいとも思います。






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プロフィール

らんぷ店主

Author:らんぷ店主
アジアのお母さんの味に東洋医学のエスプリを混ぜた、アジア薬膳料理屋を奈良きたまちの古民家で展開。
「あじあの薬膳おばんざい 藍布(らんぷ)」
火曜・水曜定休
奈良市法蓮町1232
℡ 0742-27-1027

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